月2日(日)
 失敗に学ぶ〜両備バス 小嶋光信社長

 山陽新聞社との共同企画「失敗に学ぶ 私の教訓」。2回
目は両備バスの小嶋光信社長に聞く。小嶋社長は東京出
身の59歳。大学卒業後、三井銀行(現・三井住友銀行)勤
務を経て73年、両備運輸常務に就任。現在は、運輸、情
報、流通など幅広く事業展開する両備グループの代表でも
ある。
小嶋氏の『失敗』は、入社3年目で企業に融資などを行う
与信担当に抜てきされた時のこと。急成長していたある紳
士服メーカーに、無担保で3000万円を融資した。相手企
業の将来性を信じ、審査の担当を説き伏せた末のいわゆ
る信用貸しだった。ところが、順調に見えたその貸出先が、
取引先の倒産のあおりを受け、連鎖倒産が避けられない
事態に陥ってしまった。
 「支店の上司から『万事休すだろう。お前も銀行員として
はもう駄目だな』と言われた。その一言を聞いた瞬間の悔し
さといったら…夜空の星も涙でゆがんで見えた」
 融資先の社長と直談判しなければと考えた小嶋氏。だが、
居場所が分からない。数日後、やっとの思いで相手社長を
探し出すことができた。結局、融資額相当の商品を現物で
引き取ることになり、知り合いから4トントラックを借り、自分
で運転して品物をデパートから引き取った。
 「宿直室が服でいっぱいになった。しかし、倒産するかも
しれないブランドのネームが付いていては、どこも引き取って
もらえない。勤務を終えた夜、かみそりでネームをはずして
いたら、支店の女性たちが皆手伝ってくれた。そりゃうれし
かった。結局、商品は別の百貨店が買い取ってくれ、融資
の方が付いた」
 「あの経験もあって、『人間万事塞翁が馬』が座右の銘に。
人生にはいいことも悪いこともある。いい時には有頂天にな
らず、悪い時はあきらめないこと。もう一つ、学んだのは『人
間は一人で生きているんじゃない。いろんな人の助けがあっ
て、自分があるんだ』ということ」



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