香川県善通寺市   旧陸軍第11師団施設


旧第11師団司令部 (明治31年、木造2階建て)
 同師団は、明治29年に増設が決定された6師団のうちの一つで、初代師団長は乃木希典。建物は、玄関上部にペディメント(破風)を持つ屋根を配置する。玄関ホールには柱頭飾りを配した角柱が2本、続いて繰形の飾りを持つ親柱と手すりの付いた木製の階段が迎える。2階左奥が、旧師団長室で歴代師団長が使用した机と椅子が展示されている。建物の平面レイアウトは、両側が後ろにコの字形。車寄せは大正11の大演習のとき、増設されたとされる。この建物は、弘前、金沢、姫路の各師団司令部と形態が近似し、当時の規格化された陸軍施設の特徴をよく示している。陸上自衛隊善通寺駐屯地資料館「乃木館」として一般に開放されている。

旧第11師団兵器部倉庫群
(明治42、44年、大正10年、煉瓦造2階建て)
 旧第11師団の現存建物には、旧司令部、旧偕行社、旧兵舎とともに煉瓦造りの大型倉庫群が残る。旧兵器部倉庫は、明治期に建設された梁間14.54メートル、けた間63.60メートルの同一規格の2棟と大正期の梁間14.55メートル、けた行99.88メートル1棟の計3つ。いずれも外壁を支える擁壁や頂部に石製の棟飾りを持つ妻部など特徴的な外観を持つ。現在も陸自第14旅団の輜重庫として使われている。

旧第11師団騎兵第11連隊第2号兵舎
(明治30年、木造2階建て)
 騎兵第11連隊に2棟あった兵舎の一つ。第1兵舎は戦後取り壊されたため現存する唯一の旧兵舎。戦後、四国学院大学の所有となり、校舎として利用されている。南面中央の玄関に4本の丸柱と大きなペディメントを伴うが、これは学院の所有になった際に、米人の初代学長の発案で付けられたもの。外観は、玄関を中心にした対象形で上げ下げ窓が規則的に配列されている。窓枠には、装飾的な要素はなく簡素。内部は内廊下の両側に部屋が配置され、両端に階段。手すりにもまったく装飾的要素は見当たらない。国登録有形文化財。

旧善通寺偕行社 (明治36年、木造平屋建て)
 旧陸軍将校の社交場として建てられた。旧師団司令部とよく似た外観を持ち、陸軍建築の簡素で質実な作風が典型的に示されている。裏手には芝庭を持つ。玄関前のオーダーとペディメントを伴う車寄せは、大正11年増築されたもの。この時、陸軍大演習を統監した摂政宮(後の昭和天皇)の仮営所となった。戦後は、善通寺区検察局、市役所、郷土館などとして使用されてきた。2001年、国の重要文化財に指定。2008年4月、大規模な保存修理が終わり、発表会や展示会など再び市民の活動の場として利用されている。