岡山県の備中地域・旧備中国の江戸時代後期の風景を描いた巻物が見つかりました。当時の様子を今に伝える貴重な資料として注目を集めそうです。
巻物は「山陽道山水臨摸 中備偏」(さんようどうさんすいりんぼ ちゅうびへん)です。
元足守藩士の小早川秀雄が描いたもので2巻あり、縦はいずれも23センチ余り。横は6メートルと、9メートルを超える大作です。1847年から48年ごろにかけて描かれたとみられます。
総社市の備中国分寺周辺では田園風景が広がっていたことが分かります。高梁川越しに描いた備中松山城の城下町の風景は、城の櫓すべてが2階建てに描かれるなど正確ではありませんが、石州瓦とみられる朱色の瓦でふかれた街並みを見ることができます。
巻物にはこのほか、玉島(倉敷市)や成羽(高梁市)、鴨方(浅口市)なども描かれていて、備中国内合わせて24カ所の風景が収められています。
「山陽道山水臨摸」は山陽道各国の風景を模写したものですが、これまで備中国を描いたものは存在していないと考えられてきましたが、2021年12月、岡山県立博物館が岡山市内の個人から寄託を受け、調査が続けられていました。県立博物館は改修工事のため休館していますが、一部が開館となる11月に公開される予定です。