新型コロナウイルス感染者の発生届について、高齢者などリスクの高い人に対象を限定する全数把握の簡略化が9月26日、全国一律で始まりました。感染者の8割を占めるとされる軽症者は住所や氏名などの詳細な届け出が必要なくなり、医療機関や保健所の負担が軽くなると期待されています。
岡山県内に7カ所ある保健所の一つ、岡山市中区の備前保健所は、管轄する赤磐市や玉野市など6市町の医療機関から毎日、コロナ陽性者の発生届けが届きます。この日は陽性者や医療機関から簡略化に関する問い合わせが相次いでいました。
コロナ感染者が発生した場合、これまでは各医療機関が国の情報共有システムを使って感染者全員分の発生届けを各保健所に連絡。保健所が一人一人の容体に合わせて入院が必要かなどを判断した上で感染者の情報をリストにまとめていました。
26日からは発生届けの報告対象が65歳以上の高齢者、入院が必要な人、重症化リスクのある人、妊婦に限定。対象外となる軽症者については感染者自らが自費で検査キットを購入して検査した上、県が開設している専用のホームページに名前や住所、症状の有無などを入力。自宅療養中に体調が悪化したり宿泊療養や食料品の配送が必要になったりした場合は、これまでと同様、サポートセンターなどが対応します。
これによって備前保健所では発生届けの数がおよそ8割減ると見込んでいます。
一方、岡山県医師会は26日、会見を開き、全数把握の簡略化スタートについて、経済活動を回していくためには受け入れざるを得ないと複雑な心境を語りました。今後は対象外となる軽症者の容体が急変した場合について懸念を示しました。
対応策として県は、26日から運用を始めた、自宅療養者が医師にスマホを通じて相談できるチャットアプリを活用したり、かかりつけ医などへ直接相談したりすることなどを推奨しています。