さて、当時の社交を目的として茶室を庭園内に作らせることに加えて、鑑賞面・実用面の両面から満足出来る庭園が歓迎されることに、遠州の作庭の主張が合致することとなります。
今、私たちが、小堀遠州作庭として見ることが出来るのは、岡山では、遠州作といわれるものを含めて2つあります。

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①天柱山
頼久寺※1(高梁市頼久寺町18)
蓬莱式枯山水庭園(小堀遠州初期の作庭であり、俗に「鶴亀の庭」といわれます)/画像は頼久寺
「鶴亀の庭」は、昭和49年(1974)に国の名勝庭園に指定されました。

②安養寺庭園(美作市林野48)
客殿裏にある枯山水の築山と前庭の亀島は、小堀遠州作庭と伝えられています。

また残念な話ですが、江戸初期に作られた小堀遠州作庭と伝えられる池泉回遊式庭園であった旧丹羽屋敷・東湖園(岡山市中区門田屋敷)が、平成25年(2013)に閉鎖・解体され、マンションへと姿を変えつつあるのも、個人の所有であったために維持管理が難しいなど諸事情があったとはいえ、貴重な文化財が見られなくなったことは惜しい感じがします。
岡山以外では、駿府城、二条城、名古屋城などの作事奉行を務め、上皇の御所となる仙洞御所の造営、南禅寺塔頭金地院、大徳寺孤篷庵の造営など、数々の功績に出会うことが出来ます。
例えば京都だけを巡っても、小堀遠州作庭と伝えられるものが多く存在しますし、枯山水(南禅寺など)・池泉鑑賞式(二条城・高台寺など)、お庭を訪ねて巡るのも趣があるかなと思います。

※1暦応二年(1339)足利尊氏が諸国に安国寺として建立した禅寺